毎日の食事づくりをもっと楽しく、そして身体に優しいものにしたい。
でもって、手をかけたくない。
そんな願いを叶えてくれるために大事なのが汁物です。
今回は一汁一菜の献立のメインと言っていい「汁」について、その可能性と実践方法について提案です。
汁の概念を広げよう
汁物と聞くと、味噌汁を思いうかべるかもです。たしかに味噌は体によくて、充実した栄養素のカタマリのようなものです。
ですが、それがずっと続くとなると、よほどのオーガニックマニアじゃないかぎり、食事や献立づくりが苦行になってしまいます。
そうすると体に良い、家族の健康を守るためと思った一汁一菜が体や心が変になってしまうわけです。
汁物をいかに充実させるかが、一汁一菜を楽しく、美味しく、カンタンに、そして長続きさせるコツです。
和風
日本は季節に変化があり、豊かな自然に囲まれています。そんな自然の豊かさを味わえるのが一汁一菜の楽しみです。たとえば、
【だし汁を変える】
昆布・かつお出汁:基本の澄まし仕立て
煮干し出汁:あさりと小松菜の潮汁
干し椎茸出汁:山菜とつみれの汁
昆布・かつお・煮干しの合わせ出汁:若竹汁
鶏ガラ出汁:鶏治部煮風
【季節の具材で変える】
春:たけのこと菜の花の白味噌仕立て
夏:オクラとモロヘイヤのとろみ汁
秋:さつまいもと油揚げの味噌汁
冬:大根と牡蠣の醤油仕立て
【味噌・醤油・塩で変える】
白味噌:なめこと長ネギ
赤味噌:茄子と青じその実だくさん
合わせ味噌:じゃがいもと油揚げ
醤油:舞茸と三つ葉の澄まし
塩:かぶと豆腐のシンプル仕立て
塩+生姜:野菜たっぷり鶏団子スープ
など、おなじ汁物でも素材を変えることで、まったくの別物になります。
そして、和風だけではなく、いろんな国の料理法を足すことで、さらに充実した一汁一菜生活になります。
洋風
野菜スープ、ミネストローネ、ブイヤベース、ポタージュ
中華風
麻辣スープ、担々風スープ、オイスターソース、五香粉いりスープ
エスニック風
トムヤムクン風、韓国スープ、ハリラスープ
一汁一菜の解釈を広げる
カレー、あんかけチャーハン、オムライス、鍋もの
世界各国のスープ文化を取りいれることで、毎日の食事が単調になることを防ぎ、より豊かな食生活を楽しむことができます。
基本的な献立の組み立て方
「汁=菜(おかず)」という考え方を取り入れることで、献立作りがグッと楽になります。
例えば、
具沢山の味噌汁+ご飯
野菜たっぷりスープ+ご飯
豆腐と野菜の中華スープ+ご飯
このように考えると、一品で栄養バランスの取れた食事になるのじゃないでしょうか。
野菜やキノコをたっぷり使用することで、必要な栄養素を自然と摂取できます。
まごわやさしい
日本食で意識するといいのが「まごわやさしい」ものです。
献立づくりに困ったら、家にあるまごわやさしい食材をいれて、お味噌汁にするのはどうでしょう。
季節に合わせた食材選び~畑をぶちこむ~
「畑をぶちこむ」という考えかは、シンプルで理にかなっていると、個人的には感じています。自然はその時に必要なものをプレゼントしてくれます。
政府のいう「バランスの良い食生活」をガン無視して、畑に生えるものを食べることで、必要な栄養素を摂取できるのです。
春
代表野菜:新玉ねぎ、菜の花、春キャベツ
夏
代表野菜:なす、オクラ、ズッキーニ
秋
代表野菜:さつまいも、きのこ、かぼちゃ
冬
代表野菜:大根、白菜、ねぎ
これらの旬の食材を積極的に取り入れることで、季節に応じた体づくりができます。
ちょっとずつ薬膳の食養生を生活や献立に取りいれるのも、一汁一菜を充実させ、そして心や体をケアしてくれます。
簡単なレシピの紹介
【基本の出汁のとり方】
- 水1リットルに対して、昆布10cm程度を入れる
- 30分程度常温で浸す
- 火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す
- かつお節をひとつかみ入れ、さっと煮立たせる
- こしザルでこす
【簡単!野菜たっぷりスープ】
- 玉ねぎ、にんじん、セロリをみじん切りにする
- オリーブオイルで野菜を炒める
- 水、ローリエを入れる
- 好みの野菜を加えて煮込む
- 塩コショウで味を調える
【だしをそのまま具材に】
- 昆布を細切りにする
- かつお節やいりこなどをフードプロセッサーでまぜて冷凍庫に保存する
【昆布汁を冷蔵庫にストックしておく】
- 昆布や干ししいたけと水をストッカーにいれておく
【おすすめ! 重ね煮】
もとはマクロビオティックの考えかたを元につくられた調理法で、とてもおいしく、体にも良い調理法です。
一汁一菜の食事というと手を抜いたモノと思われがちです。
ですが、栄養バランスの取れた食事を実現できる優れた方法が一汁一菜です。季節の食材を取りいれ、様々な汁ものをつくることができ、より豊かな食生活を楽しむことができます。
単純に食材を煮るだけですが、いくらでもバリエーションを増やせ、汁ものはメインのおかずにすることができます。
毎日の食事作りに悩んでいるなら、まずは汁物から見直してみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があるはずです。
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